トランスアメリカ

 

スカートの下に何があるかよりもっとだいじなこと


ずっと観たいと公開を待ち望んでいた作品『トランスアメリカ
初日の22日に観てきました!!
銀座( ̄ー+ ̄)

「マイナーな映画だし,そんなに混んでないだろうなぁ〜」と思ってたら,メッチャ混んでた(笑)
30分前には着いてたんだけどねぇ.


以下,イントロダクション


若い頃から男性であることに違和感を持ち,家族のもとを離れ今は女性としてLAで独りアパート住まいのブリー(フェリシティ・ハフマン).
肉体的にも女性になるための最後の手術を控えたトランスセクシュアルの彼女は,レストランの皿洗いとテレフォン・アポインターの仕事を掛け持ちしながら,手術費用を捻出するためにつましく暮らしていた.
そんなある日,ブリーの元にNYの拘置所から一本の電話が….
遠い日に置いてきたはずの“スタンリー”という男性時代に出来た息子の存在をブリーは初めて知る.
トビー(ケヴィン・ゼガーズ)と名乗るその少年は,自分が父親を探しているのだと言う.


『いつか,親父の前に立派な身なりをして現れるんだ』


話を聞いてブリーは動揺する.
ブリーをカウンセリングする医者は「けじめをつけないと手術しても本当の意味で女性にはなれない」と諭す.
戸惑いながらも2人は,NY⇒LAの大陸道断=トランスアメリカの旅に出ることになる.
ブリーはイチ女性として父親であることを隠したまま,トビーは父親を探すために….


変な形の親子旅ですが,丁寧に2人の内面が描かれていて切なくなります.
そして男娼,同性愛,ジェンダー,上流社会……
当たり前に存在する,アメリカの世界を垣間見ることが出来る作品です.

最初はぎこちない2人なんだけど,ブリーが大人の女性として色々な事を話していくうちに,
トビーも車の中でブリーをからかったり,動物が好きなことをポツポツと話していくようになるサマは,2人の間の溝がどんどん埋まるのを実感できます.

けれど偶然にも,ほんの一瞬,常に淑女然としていたブリーが見せたスキ,「立ちション」を見てしまったことで,ブリーが実は男であることをトビーは知ってしまうんですね.
ビックリして,不機嫌になって,そこら辺の人に「コイツ男なんだぜ」,「バケモノ」とブリーからしてみれば「辱め」とも取れる言葉を発してしまう幼いトビー.


 『肉体は中途半端でも,心は健全だわ』


自分の存在を一生懸命保とうとするブリーの姿にトビーは徐々に彼女に理解を示していきます.
バレた後の方がずっとブリーが活き活きしているような気がします.
妃紗はずっと,「いつトビーにバレんだろうなぁ」と思ってましたが,割とこのくだりは前半部分で出てきますね.



物語がもう一つ動くのは,ブリーが今「男性でも女性でもない」という状態であるとわかった後のトビーの心の動きと連動します.
旅の最中に,ブリーが過去を忘れる為に捨ててきた『故郷』に立ち寄る事になります.
息子が女になった,という事をどうしても受け入れる事が出来ない母,とまどう父,奔放な妹,異質なものを受け入れられない上流家庭……すべてが耐えがたく,苦い思い出を呼び起こす世界.
しかし,母に

肉体的にはまだ男性で,親子ほど年の離れたブリーに対して


『あんたとヤリたいんだ.俺に任せて.あんたはセクシーだよ』


と,究極の愛とでも言いますか,全ての垣根を越えた求愛をするトビーの姿には痛々しささえ見えます.


ブリーの家族と一緒にレストランに食事に行ったとき,ブリーの母親は自分の椅子を引くようにブリーに目で指示をします.
「それは男性の仕事よ」と拒むけれど,母親の傲慢な態度に抗えず屈辱的な表情を浮かべてエスコートするシーンがあるんですが,その後トビーはブリーの椅子を引いてあげるんですね.とてもぎこちなく.

それがどれだけブリーは嬉しかっただろうと思うと涙が出てきました.
そして,トビーが本当にブリーのことを好きになってしまったんだということがわかるんですね.
この後↑で書いたベッドを共にしたいと誘うシーンに繋がるんですが.


結局体を求められたことで,自分はトビーの父親だと打ち明けてしまって,トビーの失踪という結果を招いてしまいます….



LAに戻り「最後の手術」を受けて,胸も女性器も手にいれ「女性」になったブリー.
その彼女の前に再び現れたトビー.


まだまだ分かり合えたわけではない.許したわけではない.
でも,また一緒に酒を飲み交わそう.

「男親」と「息子」ではないけれど.

トランスアメリカを経て,2人は親子になる準備を終えたのでしょう.


主役の2人,恥ずかしながら妃紗は初めてお目にかかる2人だったんですね.
フェリシティ・ハフマンは,なんというんでしょうか,決して美人じゃなくてシワだらけだしシミだらけだし,全然キレイじゃないんですけど,すごく輝いてました.


そして!!!ケヴィン・セガーズ!!!!!
チョーーーカッコイイ!!!(*≧▽≦)b"
妃紗のなかではアシュトン・カッチャーヘイデン・クリステンセンばりのヒット♪♪
ホントカッコイイ……(Ψ▽Ψ*)
ハマりそう…(笑)