冷静と情熱のあいだ

美術絵画の修復士を志す阿形順正(竹ノ内豊)は,フィレンツェの工房で修復の修行に明け暮れ,その才能を開花させようとしていた.そばには活発で少々気の強い芽実(篠原涼子)という恋人もおり,人生は順調そのもののはずだった.
しかし,彼の心の中には常に空虚な穴がぽっかりと空いている.それは、かつて愛した一人の女性の存在をどうしても忘れる事が出来なかったからである.学生時代をともに過ごし,そばにいるだけで心が休まり,お互いの全てを分かり合えた女性,あおい(ケリー・チャン).
順正は,自分の修復している絵画の中にも街で通りすがる人の中にも,二度と会うことはないであろう彼女の姿を未だ探しつづけていた.
そんな中,順正はふとしたことをきっかけにあおいが今ミラノにいることを知る.
意を決してあおいに会いに行く順正.あおいと会って全てをやり直したい.しかし,順正が目にしたあおいは裕福なアメリカ人実業家の恋人・マーヴに守られ,何不自由のない生活を送っていた.
傷心の順正に追い討ちをかけるように事件が起こる.順正の修復していた絵画が何者かによって無残にも切り裂かれたのだ.工房自体の存続すら危ぶまれる状況の中,順正は追われるようにして日本へと帰国.そして,自分とあおいが別れる事になった事件の裏に隠されていた真実を知る.
怒りと悲しみに打ちひしがれる順正.その順正に残された最後の望みは,10年前の他愛もない約束,“あおいの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモのクーポラで待ち合わせる.”というものだった.
あおいはもう忘れてしまっているに違いない.しかし順正は,再びイタリアへと旅立つ.一縷のはかない望みだけに全てをかけて.あの愛は真実だったということを証明するために….


芸術の国,イタリアその2大都市とも言えるミラノとフィレンツェ,そして東京という舞台を10年間かけて縦横断してゆくストーリィですが,この作品観てるとほんとに,欧州っていいなぁーーーーーって思います.
パリに居た時も思いましたが,街並みが歴史を語るってすごいよね.
順正とあおいが再会を約束したフィレンツェのドゥオモ(正式名称は『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大
聖堂』)なんて,1436年に出来たものだもん.そこに21世紀の人間が普通に入れるんだよ?!すごいよね…….
   
    *今なお,フィレンツェを象徴する建造物


この作品で一番好きなキャラは,篠原涼子演じる芽実ちゃん.メミちゃん,っていう名前の響きがカワイイ(笑)全身で順正を愛して,傷つけられても裏切られても一途に想う姿にグっときました.

『どうしてアタシじゃ駄目なの?!』

順正に投げかけるこの言葉が痛々しくて,でもそれくらい愛していて,執着していて……
そんな芽実ちゃんの姿にちょっと身震いしました.
劇場公開時に映画館で観た時は,全然印象に残るキャラじゃなかったんだけど,ちょっと時を経てみるとやっぱり変わってくるものね.


ヒロイン,あおいの衣装に大きな効果があるのもいいです.
彼女,ライムグリーンに近い発色のいいコートを纏っているシーンがあるんだけど,目立つのね.彼女が画面に入ってくるとすぐわかるし,目がいく.
人ごみの中,順正があおいを捜し,見つけたときまず最初に飛び込んでくるのがこのコートなんです.
こういう効果がすごく妃紗ごのみ(笑)
でも,なーんかコートのデザインが流行おくれ(笑)ちょっと大きめだし,肩のラインがあってないカンジ??でも当時(2001年)はすごくスタイリッシュだったんだろうなぁ……….

冷静と情熱のあいだ [DVD]

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