初恋

宮崎あおい主演の映画.
有楽町で観てきました☆☆初めて行く映画館だったんだけど,劇場自体はスタイリッシュで中々気に入りましたヾ(〃^∇^)ノ


『私は、三億円事件の実行犯だと思う。』



 


衝撃的な激白から始まり,強烈な印象を遺すポスターもどんな話なんだろうと思わせますが,中身はすごくとろっとしていて,
どっしりした映画です(抽象的で申し訳ない).

三億円事件の概要は知っていたので,そこであまり悩まずに作品世界に入っていけたのが良かった.全くの無知だとちょっと辛いかも.


物語の軸は,主人公・みすず(宮崎あおい)の心の変化.
孤独だった彼女が,仲間を得て,「誰かに必要とされる」ことの素晴らしさや,充足感などを知っていくストーリィ.
その一環に,たまたまあの事件があった,という流れ.
みすずに,「お前が必要なんだ」と言ってのけた青年が岸(小出恵介).
いつも本を読み,どこか斜に構えている岸は,けだるく,淫靡な雰囲気を纏っている.


そう,作品全体に流れている『けだるく,淫靡なオーラ』.
これを,製作側は伝えたかったんだと思う.

舞台となる新宿のJAZZバー「B」は,薄暗くて埃っぽい.この舞台がより画面を暗くする.みすずの仲間達もみなそれぞれにだるそうに,でも純に激しく60年代を生きている.
この設定に画に引き込まれる.


対して,みすずと岸,2人だけの時間の時の画面の明るさはどうか.ほとんどを屋外で過ごしている為2人の表情がよくわかる.
みすずの岸へ抱く初めての思いも,岸のみすずへの秘めた思いも透けて見えてそこに在るのがわかる.

『全てが終わったら,どうなっちゃうの?』

みすずの疑問と不安は,岸を失うという形で答えを出す.

その後のみすずの虚無感,喪失感・・・.画面はまた暗い印象になる.みすずの心を映すように.

光りが見えるのはみすずが岸の独白を目にしてからだ.

『僕は彼女に恋をした』

そして岸の気持ちを知ったみすずは,大人になっていく……


『実行犯だと思う』の「思う」と曖昧に邂逅しているのは,やりたくてやったのではなく,大人になるためのステップだったということなのだ.三億円事件を軸にみすずは多くを知る.岸との繋がりを断ちたくない,その一心で自分の全てを懸けるのだ.
宮崎あおいちゃんは,そんな姿をよく演じてくれたと思います.

見終わった後に胸がいっぱいになる映画です.



余談ですが,岸役の小出くん.
ビジュアルが七三分けのタックインという今では笑ってしまう姿なんですが,物語がすすむにつれてものすごく素敵に見えてきま
す.岸という人間のカッコよさにハマります(笑)いい俳優さんですね.