大停電の夜に

ポスター

オムニバスがいくつかあって,そのそれぞれの主人公たちがラスト30分でクロスしていく構成.
舞台は12月24日の東京の夜,突然の停電からスタート.
色んな人が出てくるんだけど,妃紗が好きなのは豊川悦司演じる,ベーシストの夢を諦めた売れないジャズバーのマスターと,バーの向かいに建ってるロウソク屋さんを営むカワイイ女のコ(田畑智子)の話.バーは24日で閉店してしまう.
そんな日の大停電.二人はバーを沢山のロウソクで燈し,ゆっくりとお酒を酌み交わす.
そこで語られるマスターの過去,ロウソク屋の彼女の思い・・・.

そこに,今までのオムニバスの人物達が集ってくるの.集まる人みんなどこかで繋がりがある人たち.でもお互いにわからない.最後まで「観客しかわからない」というスタンスが一層幻想感を漂わせるので,引き込まれます.

この輪に全く関わらないストーリィが,人工衛生マニアの中学生(本郷奏多)と明日乳癌の手術によって乳房を取ることが決まってるモデル(香椎由宇)の交流の話.
最初はどうやってこの子たちをクロスさせるんだろうと思ってたんだけど,結局クロスしないの.でもこのマニアの少年が「何故こんな大停電が起きたのか」の仮説をモデルの彼女に教えるの.
すごく重要な事が彼の口によって自然とわかる.説明的なテレビやラジオのニュースとして解らせるんじゃなく,あくまでもキャラクター.
いやーロマンチック度アップ★★


『大切な人と観てください』なんて宣伝文句だけど,是非一人で観て,その後独りで『大切な人』について考える方をオススメします.